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昨日もまた雨に振り回されました。
九州国博は道路が寸断されて、閉館になったと聞きました。
今日はどうなっているかわかりません。
水も十分に怖いです。
銀行でまったりしようとしたオリバー編おいていきます。
構想だったものを放出すると、頭のCPUが少しはラクになります。
リブロフはアクバー峠の一件を解決したピドナ部隊でにぎわっていた。船が出るまでに半日もあったし、風は強いがいい天気で、各自思い思いの時間をすごすことが許されていたのだ。
オリバーは用意された宿舎でシャワーを浴びてから、出先で必ずするように銀行に入った。オリオールとの通信も大体ここでこなせることになっている。それに、友人が連絡したいときにも銀行に手紙が着いている。ジョカルほど大変なことはなかったが、事件をひとつ終えて銀行に入ることは、オリバーにとって気持ちのいい区切りとなっていた。
リブロフの銀行は港から少し離れた場所にある。こじんまりとして看板も目立たず、周囲の住宅街に溶け込んでいる。3段の石段をあがってドアを開く。中には係員が3人。客が6人いた。うち4人はオリバーの部隊の者だ。
「手紙が届いてますよ、オリバーさん」若い義勇兵がにっこりして言った。
「そうですか、ありがとう」オリバーが荷物を持ち直して受け取りにサインしていると、その義勇兵はますますにっこりしてオリバーの肩を親しげに叩いた。
オリバーはその彼が何か言いたそうなのが気になったが、先に手紙に目をやった。
分厚い事務封筒はオリオールからだ。裏を見るとユーステルムとある。そして走り書きで、急ぎの場合はコーディネーターをそのままやる、と書いてあった。
オリバーは早速開封しようとしたが、もうひとつの手紙を取り出してみると、黒い馬の意匠のついたなんとも優雅な感じの私信用の封筒で、ピドナから出されたコーデル・フォン・ツヴァイクの手紙だった。
オリバーは、要するにさっき冷やかされたのだったが、手紙を前にしてそんなことは気にもならなかった。私信なら緊急性もないので、いつもの彼ならば帰りの船で読むという合理的なやりかたをするところだ。が、今日はもう休日の気分だった。オリバーはソファをみつけてゆっくり読むべく座り込んだ。
「じゃ、お先に」などと言いながら仲間のうち2人が銀行を出て行った。オリバーは頭だけちょっと下げて丁寧に開封する。
《オリバー・ベント様
ファルスの総司令官とともに、ナジュ方面へ出向かれたとのこと、ピドナに出向いてから聞き及び……》
コーデルは淡々とではあったが、アクバー峠は何があるか分からないという心配そうな書きかたをしていた。それからピドナに出向いてソロンギルの世話になっていること、メッサーナとツヴァイクは協力して迎撃すべき敵に直面しつつあることが少ない言葉で述べられ、そのあとにようやく私信らしくなった。つまり、ピドナでの生活、農場に出かけてルーシエンに話を聞いたことや3兄弟をお茶に招いた話、黒い馬のオッセ・フィンのことなどを楽しげにつづり、特に、セリー・ボイドという侍女のことを熱心に語った。セリーはドジで物覚えが悪く、すぐ眠くなり、とんでもない怖がりで――。
オリバーはその部分を読みながら思わず微笑んだ。
コーデルは、セリーという新しい友人を得たことがうれしくて仕方がないのだ。
と、次の便箋の下にはもうオリオールの手紙が待ち構えていた。オリバーは仕方なさそうにそっちを開封した。
《優先事項から先に書きます。これはまだ完全に証拠をつかんだわけではないので、頭の隅にいれて、その場になったらすぐ対応できるようにしてください。
ツヴァイクにクーデターが起きそうです。首謀者はどうやらバイカル家の者らしいのです。没落した名家であるバイカルは、一族の最年少であるアレクばかりが重用されて、名家らしい扱いを受けないことに以前から不満を持っていたのですが、これを暴力に訴えるようにそそのかした者がいます。それがどうやらモレスコらしい。たかが魔術使いになぜツヴァイクの貴族が耳を貸したのか、そこに重要な鍵があるように思います……》
その下には資料データが並んでいたが、オリバーは思わず手が震えるのを感じた。
ツヴァイクでクーデター!
バイカルはツヴァイク公に退位を迫るのだろうか、それとももっと非道な扱いをするだろうか。うつけで有名な公爵は、傀儡にする価値もないというので抹殺されるかも知れない。それならばコーデルはどうなる?ピドナにいるということは敵も承知しているから、王宮の警備をすり抜けるような刺客を送り込むか。
オリオールの手紙は最後に別の注意を促していた。
《モレスコと組んでいるマグノリアという名の赤毛の女は、かつてツヴァイクで人体実験をされ、激しくうらんでいるという情報を得ました。そして、これは未確認情報ですが、マグノリアは見世物小屋のスターだったことがあり、そのとき一緒にいた仲間のうち、特に親しかった少女の出身がモウゼス……》
オリバーはさっきのコーデルの手紙を読み返した。
《セリーのすぐ赤くなる顔はすももに似ているので、モウゼスの実家で店番をしていたとき、すもものキャラクターを作ろうかと真剣に考えたのだと……》
モウゼス出身の侍女。これは偶然なのか。
だが少なくとも、そんなことを無邪気に書いてくるコーデルは、世界的な脅威には準備怠りなく動いていても、自分自身に迫る危険を何も知らないのだ。そしてことが起きたとして、プライドの高い彼女は、たとえ武装した反逆者に脅されても言いなりにはならないだろう。
オリバーは手紙をすばやくしまって立ち上がった。手にはじっとりと嫌な汗がにじんできた。
「天気が急に崩れたようですね」
不意に銀行の係の声が高く聞こえた。窓から見える外は嵐になりそうだった。
九州国博は道路が寸断されて、閉館になったと聞きました。
今日はどうなっているかわかりません。
水も十分に怖いです。
銀行でまったりしようとしたオリバー編おいていきます。
構想だったものを放出すると、頭のCPUが少しはラクになります。
リブロフはアクバー峠の一件を解決したピドナ部隊でにぎわっていた。船が出るまでに半日もあったし、風は強いがいい天気で、各自思い思いの時間をすごすことが許されていたのだ。
オリバーは用意された宿舎でシャワーを浴びてから、出先で必ずするように銀行に入った。オリオールとの通信も大体ここでこなせることになっている。それに、友人が連絡したいときにも銀行に手紙が着いている。ジョカルほど大変なことはなかったが、事件をひとつ終えて銀行に入ることは、オリバーにとって気持ちのいい区切りとなっていた。
リブロフの銀行は港から少し離れた場所にある。こじんまりとして看板も目立たず、周囲の住宅街に溶け込んでいる。3段の石段をあがってドアを開く。中には係員が3人。客が6人いた。うち4人はオリバーの部隊の者だ。
「手紙が届いてますよ、オリバーさん」若い義勇兵がにっこりして言った。
「そうですか、ありがとう」オリバーが荷物を持ち直して受け取りにサインしていると、その義勇兵はますますにっこりしてオリバーの肩を親しげに叩いた。
オリバーはその彼が何か言いたそうなのが気になったが、先に手紙に目をやった。
分厚い事務封筒はオリオールからだ。裏を見るとユーステルムとある。そして走り書きで、急ぎの場合はコーディネーターをそのままやる、と書いてあった。
オリバーは早速開封しようとしたが、もうひとつの手紙を取り出してみると、黒い馬の意匠のついたなんとも優雅な感じの私信用の封筒で、ピドナから出されたコーデル・フォン・ツヴァイクの手紙だった。
オリバーは、要するにさっき冷やかされたのだったが、手紙を前にしてそんなことは気にもならなかった。私信なら緊急性もないので、いつもの彼ならば帰りの船で読むという合理的なやりかたをするところだ。が、今日はもう休日の気分だった。オリバーはソファをみつけてゆっくり読むべく座り込んだ。
「じゃ、お先に」などと言いながら仲間のうち2人が銀行を出て行った。オリバーは頭だけちょっと下げて丁寧に開封する。
《オリバー・ベント様
ファルスの総司令官とともに、ナジュ方面へ出向かれたとのこと、ピドナに出向いてから聞き及び……》
コーデルは淡々とではあったが、アクバー峠は何があるか分からないという心配そうな書きかたをしていた。それからピドナに出向いてソロンギルの世話になっていること、メッサーナとツヴァイクは協力して迎撃すべき敵に直面しつつあることが少ない言葉で述べられ、そのあとにようやく私信らしくなった。つまり、ピドナでの生活、農場に出かけてルーシエンに話を聞いたことや3兄弟をお茶に招いた話、黒い馬のオッセ・フィンのことなどを楽しげにつづり、特に、セリー・ボイドという侍女のことを熱心に語った。セリーはドジで物覚えが悪く、すぐ眠くなり、とんでもない怖がりで――。
オリバーはその部分を読みながら思わず微笑んだ。
コーデルは、セリーという新しい友人を得たことがうれしくて仕方がないのだ。
と、次の便箋の下にはもうオリオールの手紙が待ち構えていた。オリバーは仕方なさそうにそっちを開封した。
《優先事項から先に書きます。これはまだ完全に証拠をつかんだわけではないので、頭の隅にいれて、その場になったらすぐ対応できるようにしてください。
ツヴァイクにクーデターが起きそうです。首謀者はどうやらバイカル家の者らしいのです。没落した名家であるバイカルは、一族の最年少であるアレクばかりが重用されて、名家らしい扱いを受けないことに以前から不満を持っていたのですが、これを暴力に訴えるようにそそのかした者がいます。それがどうやらモレスコらしい。たかが魔術使いになぜツヴァイクの貴族が耳を貸したのか、そこに重要な鍵があるように思います……》
その下には資料データが並んでいたが、オリバーは思わず手が震えるのを感じた。
ツヴァイクでクーデター!
バイカルはツヴァイク公に退位を迫るのだろうか、それとももっと非道な扱いをするだろうか。うつけで有名な公爵は、傀儡にする価値もないというので抹殺されるかも知れない。それならばコーデルはどうなる?ピドナにいるということは敵も承知しているから、王宮の警備をすり抜けるような刺客を送り込むか。
オリオールの手紙は最後に別の注意を促していた。
《モレスコと組んでいるマグノリアという名の赤毛の女は、かつてツヴァイクで人体実験をされ、激しくうらんでいるという情報を得ました。そして、これは未確認情報ですが、マグノリアは見世物小屋のスターだったことがあり、そのとき一緒にいた仲間のうち、特に親しかった少女の出身がモウゼス……》
オリバーはさっきのコーデルの手紙を読み返した。
《セリーのすぐ赤くなる顔はすももに似ているので、モウゼスの実家で店番をしていたとき、すもものキャラクターを作ろうかと真剣に考えたのだと……》
モウゼス出身の侍女。これは偶然なのか。
だが少なくとも、そんなことを無邪気に書いてくるコーデルは、世界的な脅威には準備怠りなく動いていても、自分自身に迫る危険を何も知らないのだ。そしてことが起きたとして、プライドの高い彼女は、たとえ武装した反逆者に脅されても言いなりにはならないだろう。
オリバーは手紙をすばやくしまって立ち上がった。手にはじっとりと嫌な汗がにじんできた。
「天気が急に崩れたようですね」
不意に銀行の係の声が高く聞こえた。窓から見える外は嵐になりそうだった。
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Comment
大雨大変ですね
頑なだったコーデルが、友人を得て生き生きと、年相応の少女らしい楽しい気分を味わっているところが良いですね。
いいから話を聞いてよ、と言いたげな気持ちが伝わってきました。
一方で物騒な情報に、天国と地獄気分なオリバー君は気の毒ですが、ガンバレ少年。
メルフォ、使えなくなっているようです。
ご存知かもしれませんが、念の為お知らせ。
(なので、管理人のみ閲覧チェックをつけさせていただきました。)
いいから話を聞いてよ、と言いたげな気持ちが伝わってきました。
一方で物騒な情報に、天国と地獄気分なオリバー君は気の毒ですが、ガンバレ少年。
メルフォ、使えなくなっているようです。
ご存知かもしれませんが、念の為お知らせ。
(なので、管理人のみ閲覧チェックをつけさせていただきました。)
オリバー君
このあともっとひどい目にあいます。
コーデルはその前の話で失神してますが、
自分のくだらない手紙を受け取るためだけにオリバーが銀行へ行ったと思い込んでます。ちなみにこのあと、この場所にゲートが出現v
メルフォの件ありがとうございました。
仮設メルフォでもないよりましでしょうからおいときます。
ウェブ拍手は取り払ってもいいような気がします。
チェックするものが多い。。
コーデルはその前の話で失神してますが、
自分のくだらない手紙を受け取るためだけにオリバーが銀行へ行ったと思い込んでます。ちなみにこのあと、この場所にゲートが出現v
メルフォの件ありがとうございました。
仮設メルフォでもないよりましでしょうからおいときます。
ウェブ拍手は取り払ってもいいような気がします。
チェックするものが多い。。