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ロマサガ3の二次創作を書いているひとのブログです。
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3月でも熱中症になり、足がこむらがえるサリュです、こんばんは。
アリエンとヤンネスのいる話を更新します。
暑いのでジャングルに行きたくありません。砂漠も日差しが・・・

阿修羅の特集本を借りました。阿修羅クラブまであるんだねえ。
ここまで盛り上がると逆に軽薄に見えて、人ごみにいく気力がうせてゆきます。

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街道をどれくらいそれたのか、ネスには見当もつかなかった。ヤンはバテているし、林の木をなぎ倒しながらラセツはそこまで迫っているし、そして、ネスにはもう術力が残っていない。
「術力、もうないのか?」ネスは言った。もうやけくそで、そこらにある棒切れでも振り回そうかという勢いでヤンを振り向く。
ヤンは意外にも、まじめに答えた。
「ここまで来て、助かったみたい」
「ん?」
「ここ、風の道だ。術力はこれで十分」
ヤンの髪がまたしても青みを帯びて風になびいた。ネスはそれほど不思議には感じなかった。自分ではそこそこの術使いのつもりでいたが、ヤンの天才には遠く及ばない。ネスがいくら頑張っても、水辺に行けば術力を補えるということはありえなかった。せいぜい、その水を操るくらいなものだ。
「じゃ、僕も、ひねりださなきゃね」ネスは疲れた笑いを浮かべて言った。
カクン、と一瞬力が抜ける。ライフを少し削ったのだった。
ラセツは土手の上まで追ってこようとしている。ヤンとネスは再度、合成術を試すことに決めた。さっきずぶぬれになったラセツは、すでに凍え始めて動きが遅くなっている。
「ひきつけろ、そこに地下水脈がある」ネスが叫んだ。「水を吸い上げてその土地ごと落下させる」
「同時にこちらも一発お見舞いするよ」
ラセツは威嚇のうなり声をあげて立ち上がった。術を放つ。ラセツの前方に水のカーテンがせりあがった。たちまち凍りつき、足元に亀裂が入った。ヤンはタイミングを見計らい、とどめをさそうと構えた。
そのとき。
風を斬る音とともに、銀色に光る小型の槍がラセツの目の前に突き立った。
「やめなさい!」
聞き覚えがある声に二人が目を上げると、馬上から堂々とラセツを見すえるアリエンの姿が。

ラセツは新たな敵の存在に驚いたのか、振り上げた腕をおろしてアリエンを見つめている。
今だ、とネスは思ったが、ヤンもそして自分も、なぜか攻撃を止めてしまっていた。
「ここはあなたのいる場所ではないわ。もうすぐ冬だし、凍えてしまうでしょ? 人間の集落を避けて、南へ移動なさい」
アリエンはラセツに向かって真剣に言って聞かせた。
エラノールはたしかに言ったのだ、ダークネスの言ったことと、自分が聞かせたことを覚えておいてほしいと。敵を味方にすること、それ以外に方法は考え付かなかった。
「お願いだから……もう荒らしまわるのはやめて」
ラセツはわずかに首をかしげた。
「アリエンの言うとおりだ」ネスも静かに言った。「兄弟のうちで唯一残った命だ。大事にしないと」
ヤンはちょっと面食らっていたが、大急ぎでうなずいて見せた。とりあえず、アリエンのいうことには賛成なのである。
「ジャベリンを拾わせてもらうよ」ネスが水浸しの草地に近づく。ラセツはその様子をまず黙って見ていたが、不意に腕をのばしてネスをつかもうとした。
「ネス! 気をつけろ」ヤンは叫んだ。術は間に合わない。

ガ、ガ、ガ!
アリエンは飛び出そうとしたが、その目の前でラセツの足元が陥没した。ネスはジャベリンだけアリエンに投げてよこし、さがろうとしたが濡れた草は簡単に滑った。ズザザザッ!
ラセツとネスの姿が、突如出現した崖下に吸い込まれていく。
「ネス!!」アリエンは悲鳴を上げた。
ヤンはアリエンが落ちないように冷静に引き止めねばならなかった。崖の下は草と赤土のせいでよく見えず、ネスがどうなったか全く見えなかった。
「僕が、降りてみてくるから」ヤンはとにかくアリエンを慰めるつもりでそんなことを言った。
だが即座に声が聞こえた。
「そりゃ無理だわ」
目を上げた二人の前、ではなく、土手の高くなったところから、オリオールが腰に手を当てて見下ろしているのだった。
驚いた二人のそばまで身軽に下りて来たオリオールは全く冷静だった。
「ネスの捜索は私がしとくから、二人はファルスに戻るべきね」
「でも捜索って、オリオール一人でどうやって?」
アリエンはとてもできないというふうにボソリと言った。オリオールはそこで得意そうに微笑する。
「フルブライト商会が義勇軍をどうやって集めてるか知らないの? ここランス聖王廟の試練を突破することが参加条件なのよ」と、廟のあたりを指差す。その指には相変わらず指輪が詰まっている。
「試練待ちの冒険者が特設宿舎に大勢いるの。捜索隊なんていくつもできあがるわ。それにね、ネスは水の使い手なんだから、川の近くに落ちたならダメージは少ないわ」
「でも、ラセツと一緒なんです」と、ヤンがようやく立ち上がって言った。
オリオールはうなずいた。「じゃ、急ぎでやるから。二人とも、そう心配しなさんな、私を誰だと思ってるのよ」
名前ならようく知っているんだけど、と二人は思った。それと、冒険者を他力本願でふるいにかけて合理的に、またはケチりながら義勇軍を一定以上に仕立てていることは発覚した。でもとりあえず、ここまで自信を見せるオリオールを見れば、なんとなく不安は軽減された気がした。
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