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ロマサガ3の二次創作を書いているひとのブログです。
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今日は足を痛めていてインドアおたくにうってつけの日。
というわりには、本読んで終わり。

夕立のような雨を、テラスのガラスを開けて「雨だねえ」
と犬に喋るぼーっとした休日を過ごしたい。

コーデル編、オリバーとリンクしています。
ソロンギルは、老舗旅館のできのいい若旦那の役も似合うと思う。
(そして殺人事件と解決したりとか)

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ピドナの滞在は申し分なく快適なものだったが、中でもコーデルが心地よいと感じたのは、この土地の気候風土であった。ツヴァイクよりも温暖なだけでなく、浜辺や田園の行き届いた手入れと、そこの住人の生き生きとした様子。コーデルは港の視察にでかけるときに彼らと行き交ったが、彼らは無理のない笑顔で挨拶をしてくれる。それは工房の三兄弟の顔つきであり、オリバー・ベントの物静かな微笑と似たものがあった。
ソロンギルは忙しい身でもかなりな時間をコーデルのために割いていて、見えない敵を相手にしても思い悩むということがない。段取りはいつもすばらしく、それでいて頑張りましたとう気配が全く感じられない。そのソロンギルのおかげで、ツヴァイクは相当数の船と高レベルの人員まで確保することができた。あとは、ツヴァイクの軍船を移動させてくれば、モレスコの一味に対峙するには十分すぎる戦力が備わる。

「ひと段落ついたし、町でも覗いてみませんか? 実は先日の嵐でリブロフ便の船が痛手をこうむり、銀行あたりがちょっとした騒ぎになっているので私はそちらに出向きますが、工房の3人に案内を頼めるはずです」
「え、でも」
さすがに案内してもらってまで町を歩く気にはならなかった。一人の時間の潰し方は心得ている。数日前はオリバー宛に手紙を書いた……。
だが、ソロンギルの屈託のない笑顔を見ていると、なんとなくつられて承知してしまったのである。そして承知しておいて、コーデルは少し戸惑った。
ソロンギルはピクニックにいくかのように楽しそうに、では支度をして来ますので、と言って姿を消した。
コーデルも、外に出るなら着替えを、とセリーを呼ぶ。だが、ハイとよい返事は聞こえるが、ちっとも現れない。部屋の中まで探しに行くと、持ってきたワードローブを片端から空ににしていた。
「何してるの、セリー? 気でも狂ったの?」
怒るよりも驚いてコーデルは叫んだ。
「見当たらないんです!」
セリーは必死に探し続けながら答えた。
「見当たらないって、何が? 落ち着いて探して」
「だって、兜ですよ! あんな大きなものがなくなるなんて!」

セリーに言わせると、大怪我からコーデルを守ったという縁起のよいヘルムを、使わなくてもいいから持って行くようにとツヴァイク公のじきじきの命令だった。それは、わかりやすい場所に丁寧にしまっていたのだが、今朝になってドレスを取り出したとき、奥にあるはずのヘルムが忽然と消えていたのだという。
泥棒の仕業とは考えにくかった。というのは、金目のものはほかにいくらでもあるのに、手をつけていなかったからである。
「どういうことか、分からないけれど、とにかく今はいいわ。外出するの、着替えを」
「……はい」
セリーはしょんぼりしていた。コーデルは、感じたままを隠さずに態度に出せる彼女が羨ましかった。
きっと根っからの正直者なのだろう。宮廷には向かない、という考えがかすめ、コーデルはそのことを考えるのを中断した。

ソロンギルが紳士らしく迎えに来た。窓からは、三兄弟が急いで入ってくるのがちらっと見える。コーデルはソロンギルとともに嬉しそうに階段を降りた。
そこへ、衛兵が一人、控えていた。
「申し上げます!」
「何事だ、コーデル姫もおられる、静かにしなさい」
「はっ」
ソロンギルは衛兵のそばに行き、耳打ちさせた。顔つきがこれまでになく険しくなる。
「何か、ありましたか?」
コーデルは思わず尋ねた。ソロンギルは兵士にわかったと合図してさがらせ、階段を見上げる形でコーデルに言った。
「先日の嵐はモンスターによるもので、メッサーナの商船が何隻が座礁したようです。しかし、知らせはそれだけでなく――」
「コーデル様」と、奥にいたクリスが心配そうな顔で言った。「リブロフで大規模な爆発があったそうなんです。原因は不明、爆発の後は、そこにあった町の銀行や武器屋ごと、空間が消し飛んでいたという、帰港したばかりの兵士の話です。ジョカルたちと一緒にアクバー峠周辺で戦った帰途だそうで」
ソロンギルは少しためらったが、コーデルが目で続けるように懇願しているのを感じ取った。
「その銀行には、ちょうど手紙を受け取りに入っていった者がいたらしい――オリバーです」

セリーは、ドレスの不自然な衣擦れを耳にして、階段を駆け下りた。
控えていた侍女たちが悲鳴を上げうろたえる向こうで、ソロンギルがさっと彼女を抱えるのが見えた。
コーデルは真っ青な顔で、完全に気を失っていた。
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