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ロアーヌ旧市街には、名家の出だが、今は質素にしか暮らせない姫と、その従者が住んでいる。噂によれば彼女は近隣の人々の間では「黒幕」と呼ばれており、貧乏になった理由というのは、従者と一緒に悪のりして買い物をし、また不注意から大金を落としたりしての自業自得なので、王宮に住む兄に、頭を冷やせとばかりに下町に住まわされた。彼女の名前はモニカ、従者はユリアンといった。
「おっはよー。朝食できたよー、モニカ」
と、ユリアンはわけもなくいつものようにご機嫌でキッチンから現れた。
「おっはよ」
モニカも段々と軽薄な喋り方が板についてきている。しかして、黒幕と呼ばれる性格の持ち主なので、ユリアンを翻弄することも忘れない。
「庭に薔薇が茂りすぎてトゲで歩けないわ。売ったらどうかしらと思ったけど」
かつてはたしかに大輪の薔薇が植えてあったのだが、ユリアンが肥料の配分を間違えてすべて枯らしたのだった。しばらくして新芽が出たときモニカは喜んだがこれがぬか喜びで、台木のイバラだけが育ってきてしまった。
「素晴らしい。あれ全部売れれば5万オーラムにはなるよ!」
「売れるバラにするために5万オーラムかかるわよ」
と、ためいきまじりに小声で言うモニカ。
ユリアンは気にせず、無駄にくるっと回って気取りながら、トーストをテーブルに置く。眉を上げてパンを持ち上げるモニカ。
「焦げてるわね。新しいのを食べるから、あなたはそこのわけあり南部せんべいにしておきなさい」
「じゃあ焦げたのをオレが貰うよう」
「ダメよ、サラの家のニワトリにあげるんだから」
「それ最悪。もう力出ない」と、わざとらしくヘナヘナと崩れおちる。
「じゃあいいわ、トーストに卵とベーコンもつけるから、何かやってみせて。これだっていうカッコいい……」
ユリアンの頭上に電球が光った。ふたつめの皿を素早く手に取り、くるくると3度ターンし、精一杯気取って犬の遠吠えをした。
「ワオーン♪」
モニカは無表情で、置かれたトーストを吟味し、上品に一口分をちぎって、やや間を置いて言った。
「おせんべいは、広場のハトにあげることにするわ、ユリアン」
「おっはよー。朝食できたよー、モニカ」
と、ユリアンはわけもなくいつものようにご機嫌でキッチンから現れた。
「おっはよ」
モニカも段々と軽薄な喋り方が板についてきている。しかして、黒幕と呼ばれる性格の持ち主なので、ユリアンを翻弄することも忘れない。
「庭に薔薇が茂りすぎてトゲで歩けないわ。売ったらどうかしらと思ったけど」
かつてはたしかに大輪の薔薇が植えてあったのだが、ユリアンが肥料の配分を間違えてすべて枯らしたのだった。しばらくして新芽が出たときモニカは喜んだがこれがぬか喜びで、台木のイバラだけが育ってきてしまった。
「素晴らしい。あれ全部売れれば5万オーラムにはなるよ!」
「売れるバラにするために5万オーラムかかるわよ」
と、ためいきまじりに小声で言うモニカ。
ユリアンは気にせず、無駄にくるっと回って気取りながら、トーストをテーブルに置く。眉を上げてパンを持ち上げるモニカ。
「焦げてるわね。新しいのを食べるから、あなたはそこのわけあり南部せんべいにしておきなさい」
「じゃあ焦げたのをオレが貰うよう」
「ダメよ、サラの家のニワトリにあげるんだから」
「それ最悪。もう力出ない」と、わざとらしくヘナヘナと崩れおちる。
「じゃあいいわ、トーストに卵とベーコンもつけるから、何かやってみせて。これだっていうカッコいい……」
ユリアンの頭上に電球が光った。ふたつめの皿を素早く手に取り、くるくると3度ターンし、精一杯気取って犬の遠吠えをした。
「ワオーン♪」
モニカは無表情で、置かれたトーストを吟味し、上品に一口分をちぎって、やや間を置いて言った。
「おせんべいは、広場のハトにあげることにするわ、ユリアン」
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